
無料で十分な人と、お金を払う価値がある人の分かれ目。使っている機器とブラウザで、ほぼ決まる。
パスワードは「覚えない」のが今の常識です。サイトごとに違う長いパスワードを作って、全部パスワード管理ツールに覚えさせる。自分はマスターパスワード1つ(あるいは顔や指紋)だけを覚えておけばいい。
ただ、そのツールをどれにするかで迷う人は多いはずです。iPhoneには「パスワード」アプリが最初から入っていて無料。Chromeを使っていればGoogleが勝手に覚えてくれる。それなのに、有料の1Passwordを使う人がいるのはなぜか。
筆者は1Passwordを使っています。この記事では、2026年10月29日時点の各社公式情報をもとに、3つの違いと「自分はどれでいいのか」の判断基準を整理します。
まず結論。こう選べばだいたい外れない
- iPhone・iPad・Macしか使わない → Appleの「パスワード」アプリ(無料)
- AndroidとChromeが中心 → Googleパスワードマネージャー(無料)
- MacとWindows、iPhoneとAndroidが混ざっている/家族や仕事で本格的に共有したい → 1Password(有料)
無料の2つで困らない人は、かなり多いと思います。有料の1Passwordが生きるのは、「Appleの中だけ」「Googleの中だけ」に収まらない人です。
3つの違いを表で比べる
| Appleパスワード | Googleパスワードマネージャー | 1Password | |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 無料 | 有料(個人・ファミリー) |
| 得意な場所 | iPhone・iPad・Mac・Safari | Chrome・Android | すべてのOS・主要ブラウザ |
| Windowsで使う | iCloud for Windows経由でChrome・Edgeに対応 | Chromeで使える | 専用アプリと拡張機能 |
| パスキー | 対応 | 対応 | 対応 |
| 2段階認証のコード | 保存して自動入力できる | — | 保存して自動入力できる |
| 漏えいや使い回しの警告 | セキュリティ勧告 | パスワードチェックアップ、漏えい通知 | Watchtower |
| 家族や他人との共有 | 共有グループ、AirDropで1件ずつ | ファミリーグループ内のみ | 共有の保管庫(ファミリーは最大5人) |
Appleの「パスワード」アプリはiOS 18・macOS Sequoia以降で使えます。1Passwordの料金は公式サイトでは米ドル表記で、為替によって円換算が変わるため、申し込み時に公式サイトで確認してください。
Appleの「パスワード」アプリはどんな人に向いている?
iPhoneとMacで生活が完結している人に向いています。
iOS 18から、それまで設定の奥にあったパスワードの管理が「パスワード」という独立したアプリになりました。パスワード、パスキー、Wi-Fiのパスワード、2段階認証の確認コードを1か所で管理できます。新しいアカウントを作るときは強いパスワードを提案してくれて、Safariで自動入力されます。
使い回しているパスワードや、漏えいが知られているパスワードは「セキュリティ勧告」で警告してくれます。家族や信頼できる人とは「共有グループ」でまとめて共有できます。
注意点:Windowsでは、iCloud for Windowsを入れたうえで、ChromeかEdgeに拡張機能を追加する形になります。使えなくはないのですが、Macほど自然ではありません。Androidには対応していません。
Googleパスワードマネージャーはどんな人に向いている?
AndroidとChromeを使っている人に向いています。
Chromeにログインしていれば、サイトでパスワードを入力したときに保存を提案し、次回から自動入力します。安全なパスワードの生成、漏えいしたパスワードの通知、まとめて点検する「パスワードチェックアップ」もあります。対応サイトでは、漏えいしたパスワードを自動で新しいものに変えてくれる機能もあります。保存した内容は passwords.google.com からどのブラウザでも確認できます。
注意点:共有はファミリーグループのメンバーとだけです。2段階認証のコードの保存には対応していません。iPhoneでも使えますが、Safariでの自動入力はChromeほどスムーズではありません。
1Passwordはどんな人に向いている?
環境が混ざっている人、共有を本格的にやりたい人に向いています。
1Passwordは、Mac、Windows、iPhone、Android、Linuxと、主要なブラウザすべてに専用のアプリと拡張機能があります。「仕事はWindows、スマートフォンはiPhone」のような環境でも、どこでも同じ使い勝手です。
もう一つの強みが「保管庫」の考え方です。個人用、家族用、仕事用と保管庫を分けて、保管庫ごとに誰と共有するかを決められます。ファミリープランなら最大5人で使えます。パスワードだけでなく、クレジットカード、銀行口座、ソフトウェアのライセンス、安全なメモもまとめて管理できます。漏えいや弱いパスワードの警告は「Watchtower」が担当し、パスキーにも対応しています。
注意点:有料です。公式の料金は米ドルで、2026年3月に値上げされました(個人は年払いで月3.99ドル、ファミリーは月5.99ドル)。日本円で買いたい場合は、ソースネクストが販売する3年版もあります。
筆者が1Passwordを使っている理由
筆者も、iPhoneとMacだけなら「パスワード」アプリで十分だと思っています。それでも1Passwordを使っているのは、使う機器とブラウザがAppleの中に収まらないからです。どの機器で開いても同じ画面、同じ操作で、同じ保管庫が出てくる。この安心感に月数百円を払っています。
逆に言うと、Apple製品で完結している人が、わざわざ有料のツールに乗り換える必要はありません。無料で始めて、困ったら乗り換える、で大丈夫です。
どれを選んでも、やっておきたい3つのこと
- マスターパスワード(またはApple・Googleアカウントのパスワード)だけは、強くて覚えられるものにする。ここが破られると全部が開きます
- 2段階認証を有効にする。パスワード管理ツール自体のアカウントにも
- パスキーが使えるサービスは、パスキーに切り替える。パスワードを覚えさせる手間すら減ります。仕組みはパスキーって何?にまとめています
まとめ。無料で始めて、はみ出したら1Password
パスワード管理ツールは、使わないことが一番のリスクです。まずは、今の環境に最初から入っているもので始めてください。iPhoneとMacなら「パスワード」アプリ、AndroidとChromeならGoogleパスワードマネージャー。
MacとWindows、iPhoneとAndroidが混ざってきたり、家族や仕事で共有が増えてきたりして、無料のツールから「はみ出した」と感じたときが、1Passwordを検討するタイミングです。
※本記事の内容は2026年10月29日時点の各社公式サイトの記載(1Passwordの料金は公式発表をもとにした報道)です。料金や機能は変更される場合があります。
参考
- Apple サポート「iPhone、iPad、Mac の「パスワード」App」 https://support.apple.com/ja-jp/120758
- Google Chrome ヘルプ「パスワードを管理する」 https://support.google.com/chrome/answer/95606?hl=ja
- 1Password 公式サイト https://1password.com/jp
- #1password
- #apple%e3%83%91%e3%82%b9%e3%83%af%e3%83%bc%e3%83%89
- #%e3%82%bb%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%aa%e3%83%86%e3%82%a3
- #%e3%83%91%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%bc
- #%e3%83%91%e3%82%b9%e3%83%af%e3%83%bc%e3%83%89%e7%ae%a1%e7%90%86
関連記事

PHPって何? ニュースで聞くけどよくわからない人のための、いちばんやさしい解説
Webサイトの裏側で、ページをその場で作っている「料理人」。専門用語なしで、PHPが何をしているのか、なぜ脆弱性が大ニュースになるのかを説明する。 2026年10月、「PHPに重大な脆弱性」というニュースが流れ、官公庁や …

PHPの重大な脆弱性「php2shell」とは? 何が起きたのか、サイトを持っている人がやること
10月21日に緊急の修正版が出たPHPの脆弱性。官公庁や企業のサイトが一時停止するほどの騒ぎになった理由と、WordPressなどでサイトを運営している人が確認すべきことをまとめる。 2026年10月21日、Webサイト …

パスキーって何? パスワードをやめる仕組みと、iPhone・Android・PCでの設定方法
覚えなくていい、盗まれにくい、偽サイトでは使えない。各社が標準にし始めた「パスキー」の仕組みと、今日から使うための手順を整理する。 GoogleやApple、Microsoftにログインしようとしたとき、「パスキーを作成 …