
顧客台帳、問い合わせの記録、日報。Excelファイルが増えて、どれが最新か分からなくなったら読む記事。料金、できること、向かないことを整理する。
「顧客リストのExcelが人の数だけある」「問い合わせの対応状況はメールをさかのぼらないと分からない」「日報は紙かチャットに流れて、あとから探せない」。小さな組織の情報管理は、だいたいこの状態から始まります。
kintone(キントーン)は、こうした「Excelとメールでなんとかしている業務」を、自分たちで作る小さな業務アプリに置き換えるためのサービスです。筆者は福祉の現場で、利用者の記録や台帳のアプリをkintoneで作って運用しています。この記事では、その経験とサイボウズの公式情報(2026年10月30日時点)をもとに、kintoneが何なのか、いくらかかるのか、どんな組織に向いているのかを整理します。
ひとことで言うと
kintoneは、プログラミングなしで、自分たちの業務に合わせたデータベースアプリを作れるクラウドサービスです。
「アプリ」と聞くと大げさですが、中身は「入力フォーム」と「一覧表」と「コメント欄」の組み合わせです。Excelの表を1枚作るのと同じ感覚で、顧客台帳や問い合わせ管理のアプリを作れます。違うのは、全員が同じデータを同時に見て、同時に入力できること。「最新版はどれ?」が起きません。
Excelと何が違うのか
| Excel | kintone | |
|---|---|---|
| データの置き場所 | 人ごとのファイル | 1つのアプリに全員分 |
| 同時編集 | 苦手(上書き事故) | 前提として設計されている |
| 誰がいつ変えたか | 分からない | 変更履歴が残る |
| 1件についてのやりとり | メールやチャットに散る | そのデータにコメントが付く |
| 進捗の管理 | 列に「対応中」と書く | ステータスをボタンで進める(プロセス管理) |
| スマートフォンから | 見づらい | アプリでそのまま入力できる |
| 得意なこと | 複雑な計算・集計・グラフ | 情報の蓄積と共有 |
kintoneはExcelの上位互換ではありません。複雑な計算や細かい表の整形は、今でもExcelのほうが得意です。kintoneが得意なのは、「決まった形の情報を、みんなで溜めて、探して、やりとりする」ことです。
できること
- アプリを自分で作る:項目(フィールド)をドラッグ&ドロップで並べるだけ。文字、数値、日付、選択肢、添付ファイル、担当者などが使えます
- 一覧と絞り込み:「今月の未対応だけ」「担当が自分のものだけ」といった一覧を保存しておけます
- コメント:1件1件のデータに、関係者がコメントを付けられます。「この案件、どうなった?」がメールから消えます
- プロセス管理:「受付 → 対応中 → 完了」のような流れをボタンで進め、次の担当者に通知します
- グラフ・集計:件数や金額を、一覧からそのままグラフにできます
- 通知:自分が担当になった、コメントされた、期限が近い、をスマートフォンに知らせます
- 拡張:400種類以上のプラグインや連携サービスがあり、帳票出力や他サービスとの連携を足せます(スタンダードコース以上)
公式サイトによると、作られたアプリの数は330万を超え、東証プライム上場企業の3社に1社が導入しています(2025年時点)。
料金
| ライト | スタンダード | ワイド | |
|---|---|---|---|
| 1ユーザー月額(税抜) | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
| 最低ユーザー数 | 10 | 10 | 1,000 |
| アプリ数の上限 | 200 | 1,000 | 3,000 |
| プラグイン・外部連携・API | 使えない | 使える | 使える |
| 主な対象 | まず試す小規模 | 一般的な導入 | 大規模 |
小さな組織なら、選ぶのはライトかスタンダードです。どちらも最低10ユーザーからなので、月額は最低でもライトで10,000円、スタンダードで18,000円(いずれも税抜)。「5人しかいないから5人分」とはならない点に注意してください。
ライトとスタンダードの差は、プラグインや外部連携が使えるかどうかです。最初はライトで十分に見えますが、帳票をきれいに印刷したい、他のサービスとつなぎたい、となった時点でスタンダードが必要になります。筆者の経験では、使い始めて半年もすると、たいていそうなります。
無料お試しは30日間、ユーザー数の制限なし(スタンダードコースの機能)。期間の延長はできず、終了後30日でデータは消えるので、試すなら「実際の業務を1つ載せる」つもりで始めるのがおすすめです。
向いている組織、向かない組織
向いている
- 10〜100人くらいで、情報共有がExcelとメールに頼っている
- 「この情報、誰が持ってる?」が週に何度も起きる
- 業務の流れが決まっていて、それを見える化したい
- 社内にIT担当がいなくても、Excelで表を作れる人はいる
向かない
- 複雑な計算や帳票の体裁が業務の中心(会計・給与などは専用ソフトのほうがいい)
- 大量のデータを高速に処理したい
- 10人未満で、Excelの共有で本当に困っていない
筆者が福祉の現場で使って感じていること
一番大きかったのは、「記録を探す時間」がなくなったことです。利用者ごとの記録が1か所に時系列で並び、スマートフォンからその場で入力できる。誰が見ても同じものが見える。これだけで、現場の会話が「どこにあるっけ」から「この件どうする」に変わりました。
一方で、アプリは作るより育てるほうが大変です。最初に凝りすぎると、現場が入力しなくなります。「最初は項目を5つにして、足りなくなったら足す」くらいがちょうどいい。この話は、次の記事「kintoneで最初に作るべきアプリ3つ」で詳しく書きます。
まとめ。Excelが3枚に増えたら、検討のタイミング
kintoneは、プログラミングなしで業務アプリを作れるサービスです。得意なのは「決まった形の情報を、みんなで溜めて共有する」こと。料金は最低10ユーザーから、月1万〜1万8千円(税抜)です。
同じ内容のExcelが人の数だけ増えてきた、問い合わせの状況をメールで追いかけている。そう感じたら、30日の無料お試しで、実際の業務を1つ載せてみてください。向いているかどうかは、1か月あれば分かります。
※本記事の料金・仕様は2026年10月30日時点のサイボウズ公式サイトの記載です。価格は税抜表示で、変更される場合があります。
参考
- サイボウズ「kintone(キントーン)とは」 https://kintone.cybozu.co.jp/what-is-kintone/
- サイボウズ「kintone 料金」 https://kintone.cybozu.co.jp/price/
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